相続財産の寄与分とは?意外と知らないことありますよね。

query_builder 2024/10/29 相続
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あなたが相続財産の分割を考えているなら、寄与分という言葉を知っておくと非常に役立つかもしれません。本記事では、寄与分とは何か、その意義、計算方法、注意点などについてわかりやすく解説します。
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相続財産の寄与分とは

寄与分についての基本的な説明から始めましょう。このセクションでは、寄与分の定義とその重要性について詳しく説明します。

寄与分の定義

相続財産の寄与分について理解するためには、まずその定義を明確にすることが重要です。寄与分とは、相続人の中で特定の者が、相続財産の形成に対してどの程度の貢献をしたかを評価するための指標です。具体的には、ある相続人が他の相続人全体のために、遺産の価値を増加、財産の維持をさせるような行為を行った場合について特別の寄与をした人がいるときは、その人の相続分に寄与分額を加算その貢献度に応じて認められるものです。

寄与分が認められれば、遺産の価値を増加、財産の維持をさせるような行為や介護の苦労が報われると思われがちですが、 実際には、寄与分は認められないことが非常に多く、もし認められたとしても、思っている金額には到底及ばない少額の寄与分しか認められないことが多いようです。


例えば、親の介護を長年にわたって行った場合や、遺産の管理や維持において特に多くの労力をかけた場合、その相続人は寄与分を主張することができます。寄与分は、通常の相続分に加えて、特定の相続人の負担を正当に評価し、他の相続人との公平を図るために設定されています。

寄与分の概念は、相続人間でのトラブルや紛争を未然に防ぐために重要な役割を果たします。相続における不公平感や不満は、時には深刻な争いを引き起こすことがありますが、寄与分が適切に考慮されることで、各相続人の努力や貢献が認められ、話し合いを通じたスムーズな相続が実現しやすくなります。

重要なのは、寄与分は自動的に認められるわけではないという点です。寄与した相続人側が、その貢献を証明するための具体的な証拠や状況を示す必要があります。そのため、相続人同士が事前にどのように寄与分について話し合い、合意形成を図るかが肝心です。

今後も、相続に関するトラブルを避けるためには、寄与分の考え方をしっかりと理解し、問題発生のリスクを軽減することが求められます。相続財産の寄与分は、個々の相続人の負担や努力を公正に評価し、より良い相続を実現するための大切な要素であると言えるでしょう。

寄与分には2つの制度がある

  1. 相続人の寄与分等

    共同相続人のうち、被相続人が経営していた事業の労務提供や、介護、療養看護を通じて被相続人の財産の維持または増加について特別に寄与した相続人には、法定相続分のほかに寄与分が認められます。ただ、寄与分については、相続人間の話し合いで決めざるを得ないといった現実があります。話し合いがまとまらず、調停や審判に発展する場合もあります。 また、寄与分が認められるのは相続人に限られます。したがって、長男の嫁が被相続人の介護に献身的に努めたとしても寄与分は認められません。  しかし、 この点に関し、民法改正により、相続人以外の方が無償で被相続人の介護、療養看護等を行った場合、一定の要件のもとで、相続人に対して相続(遺産分割の手続き)とは別の枠組みで特別寄与料(金銭)の支払いを請求することができるようになりました(2019年7月1日施行)。
  2. 相続人以外の親族の特別寄与分

    上記のように、相続人以外の親族による寄与(無償で被相続人の介護、療養看護等を行った場合)が相続で考慮されない問題を受けて、相続人以外の親族による特別寄与料の制度が2019年7月1日から施行されています。 この制度では、相続人ではない親族が被相続人の財産増加や維持に貢献した場合において、相続人に対する寄与分の請求が認められます(民法1050条)。 これにより、従来は寄与分の請求が難しかった長男の妻や被相続人に子どもがいる場合の甥や姪も、特別寄与料を請求する余地が生まれることとなりました。 なお、親族には次の者が該当します(民法725条)。

      ・6親等内の血族

      ・配偶者

      ・3親等内の姻族

ただし、親族でない者はこの特別寄与料を主張することはできません。 親族でない者とは、たとえば内縁の配偶者や友人などです。 親族ではない者による特別な寄与に報いるためには、従来どおり遺言書などで対応する必要があります

寄与分が認められる要件

寄与分等はどのような際に認められるのでしょうか? 主な要件は次のとおりです。

寄与分の要件

1、相続人または親族であること

・相続人

・相続人以外の親族(相続人ではない親族が被相続人の財産増加や維持に貢献した場合)

寄与分等を主張できるのは上記の者のみです。


2、主張する寄与行為が相続開始前の行為であること  被相続人が亡くなった後の行為、例えば、遺産不動産の維持管理・違算管理・法要の実施などは、寄与分の対象になりません。


3、寄与分が認められるだけの要件を満たしていること

※要件とは、

「その寄与行為が被相続人にとって必要不可欠であったこと」

特別な貢献であること」

「被相続人から対価を得ていないこと」

「寄与行為が一定の期間あること」

「片手間ではなくかなりの負担を要していること」

「寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加に因果関係があること」

などで、その要件の一つでも欠けると認めることが難しくなります。


4,客観的な裏付け資料が提出されていること  寄与分の主張をするには、誰が見ても、もっともだと分かる資料を提出する必要があります。主張の裏付けとなる資料のないまま主張すると、解決を長引かせてしまうだけです。

被相続人の「財産が減らなかったこと」や「財産が増えたこと」に特別な貢献をしたこと、とは?

一般的に、次の5つの類型の特別な貢献が考えられます。


家事従事型:無償またはそれに近い状態で被相続人の事業などに従事してきたこと(通常の給与を受け取っていた場合は対象外)


金銭等出資型:被相続人に対し、扶養の範囲を超えて金銭的な出資をしたこと


療養看護型:無償またはそれに近い状態で被相続人の療養介護をしてきたこと


扶養型:被相続人を扶養してきたこと


財産管理型:無償またはそれに近い状態で被相続人の賃貸不動産などの資産を管理したこと

寄与分への注意点

寄与分の計算には特に注意が必要な点があります。このセクションでは、それらについて詳しく解説します。

過去の貢献と寄与分

過去の貢献と寄与分の関係性は、相続において非常に重要な要素です。寄与分は、特定の相続人が相続財産の形成に貢献した内容を評価するものであり、過去にどのような貢献をしてきたかが大きなポイントとなります。

例えば、家庭の中で誰がどれだけの役割を果たしてきたのかを考えることが必要です。親の介護を行った相続人、家業を支えてきた相続人、さらには遺産の維持や管理に尽力した相続人がいる場合、それぞれの貢献が寄与分として認められる可能性があります。具体的な行動や貢献がどのように相続財産の価値を増加させたのかを示すことが、寄与分を正当に評価されるための鍵になります。

過去の貢献が寄与分として認められるためには、その活動が相続人全体にプラスの影響を与えている必要があります。例えば、ある兄弟が長年にわたり家業を支え続けていた場合、その努力によって得られた利益や安定は、他の兄弟にとっても重要な財産の一部となります。この場合、兄弟全員がその貢献を認めることで、相続の際に円滑な話し合いができるでしょう。

一方で、過去の貢献が必ずしも寄与分として認められるわけではありません。寄与分の計算においては、その貢献が具体的かつ明確であることが重要です。たとえ長年にわたって努力をしていたとしても、その証拠が明確でなければ、他の相続人との認識にズレが生じ、摩擦を引き起こす可能性があります。このため、過去の貢献については具体的な記録やエビデンスを持つことが、寄与分を申請する際には重要です。

寄与分の理解が深まることで、過去の貢献がどのように評価されるかを考える良い機会となります。そして、相続において過去の貢献が評価されることで、相続人間の公平性にも寄与するものと考えられます。相続財産について考える際には、ぜひこの過去の貢献と寄与分の関係性を意識してみてください。

寄与分についてのよくある誤解

寄与分については一般に誤解が多いです。ここでは、よく見られる誤解とその真実について解説します。

寄与分誤解1:全ての貢献が寄与分になる

寄与分に関して多くの人が持つ誤解の一つは、「全ての貢献が寄与分になる」という考え方です。実際には、寄与される内容には特定の条件があり、すべての貢献が自動的に寄与分として認められるわけではありません。この誤解は、相続によるトラブルを引き起こす原因となることがありますので、注意が必要です。

まず、寄与分として認められるためには貢献が相続財産に直接的な影響を与え、その価値を増加させたものである必要があります。例えば、長年にわたって親の介護を行い、その結果として親が元気で生活できた場合だけでは、寄与分として評価されないです。
また、金銭的な負担や物質的な貢献が優先されることも多いです。具体的には、実際にかけたお金や労力が明確に示されていることが求められます。そのため、感情的なサポートや精神的な支えが寄与分として扱われることは少ないのが実情です。

さらに、他の相続人との相対的な比較も大きな要素です。例えば、一つの相続人が長期間にわたって一生懸命に寄与してきたとしても、他の相続人も同様のシチュエーションで貢献していた場合、その貢献の重さや影響度が適切に評価されなければなりません。寄与分は、相続全体の中でのバランスを考慮しながら判断されるため、個々の貢献が無条件に認められるわけではないことを理解しておく必要があります。

このように、寄与分には具体的な条件が存在しますので、相続に際しては自分の貢献を正しく理解し、他の相続人とのコミュニケーションを重視することが大切です。寄与分についての認識を正しく持つことで、相続によるトラブルを避ける一助となるでしょう。

寄与分誤解2:要件を満たせば、寄与分のすべて主張できる?

寄与分に関するもう一つの一般的な誤解は、相続人間の不公平をなくすために設けられた寄与分ですが、現実はそう簡単に認められるものではありません。もし認められても、取得できる寄与分の額は予想よりずっと少ない可能性があります。

①要件を満たすのが難しい
寄与分を認めるということは、寄与した相続人、または特別寄与分をうける相続人以外の親族の相続分は増える反面、他の相続人が受け取る相続分は減ることを意味します。 遺産分割は民法に則って法定相続分が定められているのに、それを簡単に覆せてしまうのであれば他の相続人の権利がおびやかされることになり、他の相続人の不満となる可能性があります。 そのため、法定相続分を修正するに値する寄与行為であるかどうか要件などを厳しく設定し、要件に満たない程度の貢献では寄与分が認められないのです。
寄与分が認められるための要件はいくつもあり(寄与分が認められるための条件で詳しく解説)、寄与分を認めてもらうには原則として該当項目全てをクリアしている必要があります。 寄与分を認めることは他の相続人の相続分を減らすことになるので、基準が厳しく設定されているのです。

②他の相続人または裁判官を納得させるために証拠が必要になるから


寄与分を認めるか認めないかは原則相続人同士の話し合いで決めます。つまり、相続人全員の合意がないと寄与分は認められません。いくら自分の貢献を主張しても他の相続人が納得してくれなければ、寄与分は受け取れないのです。しかし他の相続人にとっては自分が受け取る相続分が減るわけですから、なかには寄与分を認めたがらない人も出てくるでしょう。認めたとしても「できれば寄与分の額を減らしたい」と思うことは自然なことです。また、「寄与行為をしたと嘘をついて遺産を多く受け取ろうとしているのではないか?」という疑問も抱くかもしれません。そのため相続人全員に寄与分に合意してもらうのは困難になりやすいのです。話し合いが決裂した場合は裁判所に調停・審判を申し立てて寄与分を主張することになりますが、調停・審判ではさらにハードルが上がり、厳密な証拠や資料を見せるよう求められます。 客観的に見ても寄与行為があったことを確認できてようやく寄与分が認められるのです。 寄与分の主張では、被相続人の生前の要介護状況を示す証拠(カルテ・診断書などの医療記録)や、寄与分を主張する人が実際に介護などをしたことを示す証拠(医療費や介護費の支払い状況を示す領収書、介護士やケアマネージャーの証言等)が重要です。



寄与分の専門家のアドバイス

一見難しそうな寄与分の問題ですが、知識を持つことでスムーズに解決可能です。ここでは、寄与分について深く理解するための専門家のアドバイスを紹介します。

寄与分をうまく活用するコツ

寄与分をうまく活用するためには、いくつかの重要なコツがあります。まず第一に、自身の貢献を具体的に記録することが挙げられます。例えば、家族の介護やサポート、または財産の管理においてどのような役割を果たしたのかを詳細に記録しておくことが重要です。これには、時間や資金の投入を含め、その内容を具体的な数値や日付と共にまとめることが含まれます。

次に、家族間でのコミュニケーションを大切にすることが必要です。自分の寄与を説明する際には、相手の意見や感情にも配慮し、協力的な姿勢で話し合うことが求められます。寄与分に関する理解を深めるための場を設け、みんなで意見を交換することで、誤解や対立を避けることができるでしょう。

また、必要に応じて専門家の助けを求めることも一つの手です。相続に関する法律や実務に精通した専門家がいれば、寄与分の評価や計算を円滑に進めることができます。特に事前にトラブルを避けるためにも、専門的なアドバイスを受けることは非常に有用です。

最後に、過去の貢献が適切に評価されるよう心がけることも大切です。寄与分を活用することで、自分の努力が認められ、公平な相続を実現するための助けとなります。このように、寄与分をうまく活用すれば、家族間の絆を深めつつ、よりスムーズな相続を進めることができるでしょう。しっかりとした準備とコミュニケーションを通じて、円満な相続を目指していきましょう。

寄与分で損をしないための秘訣

寄与分で損をしないための秘訣はいくつかあります。まず重要なのは、早めに準備をすることです。相続が発生する前から、自分が行った貢献について記録を残しておくことが必要です。具体的には、介護の内容や期間、経済的な負担などを明示的に記録することで、寄与分を主張する際の根拠が明確になります。

次に、相続人間でのコミュニケーションを欠かさないことが鍵です。自分の寄与を理解してもらうためには、率直に話し合うことが不可欠です。相手の意見にも耳を傾け、相互に理解し合う姿勢が求められます。このような対話によって、誤解を未然に防ぎ、トラブルを回避することができます。

また、法的な側面についても注意を払うことが重要です。寄与分に関する法律や判例について学ぶことで、自分の権利をしっかりと把握し、不当な扱いを受けないようにしましょう。専門家の助言を仰ぐことも一つの手段です。弁護士や税理士の意見を参考にすれば、相続時の不安を軽減できます。

最後に、自分の寄与が正当に評価されるために、冷静さを保つことも大切です。感情的な対立が生じると、合理的な判断ができなくなることがあります。相続を円滑に進めるためには、感情を抑えつつ、理性的に取り組む姿勢が重要です。これらの秘訣を通じて、寄与分をうまく活用し、不利益を被らないよう努めていくことができます。

寄与分に関するQ&A

最後に、寄与分に関するよくある質問とその答えをまとめています。ここで新たな視点や理解を得ることができるでしょう。

Q1:寄与分は自動的に認められるのか?

寄与分は自動的に認められるものではありません。相続人が亡くなった方の財産の維持や増加に貢献していた場合に認められる制度ですが、相続人自らが遺産分割協議などの場で主張する必要があります。 寄与分が認められるには、親族としての扶養の範囲を超えて遺産の維持や形成に特別に貢献している必要があります。たとえば、長年にわたって介護をしていた場合などが代表的なケースです。 寄与分を主張する際は、寄与行為を裏づけるような証拠をあらかじめ用意しておくことが重要です。遺産分割協議で残りの相続人が納得してくれなかった場合は、遺産分割調停や審判でも請求可能です。

Q2:寄与分は何年前から計算されるのか?

「寄与分」自体は債権ではなく、遺産分割の目安となる「相続分」を決定するための一要素に過ぎません。そのため、寄与分を求める権利自体に消滅時効は存在しないと解されています。ただし、全相続人・包括受遺者の合意により遺産分割が行われた場合、原則としてそれ以降、遺産分割の内容を覆すことはできません。したがって、実質的に寄与分を主張できるのは、遺産分割の合意が成立するまでの間ということになります。 寄与分の有無は、最終的には家庭裁判所が、寄与の内容などを証拠から認定したうえで、諸般の事情を総合的に考慮して判断します。この点、あまりにも昔の被相続人に対する貢献については、その証拠となる資料があまり残っていないために、寄与分の根拠として認められないケースが多いのです。

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